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牛頭天王座像

  • hidehikohokoi
  • 2020年10月27日
  • 読了時間: 1分

更新日:7月7日


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本像は、像高約25cmの一木造による小像で、用材は榧(かや)である。榧材による一木造は、平安時代の仏像彫刻にしばしば見られる技法であり、彫刻全体にみられる雰囲気や様式からすると、本像も平安時代後期から鎌倉時代にまでさかのぼる可能性もある。


像容は明王形の憤怒相を示し、右手に斧、左手に羂索を執る姿勢をとるなど、中世以降に確立された牛頭天王像の典型的な形態を備えている。


肌部には赤色の彩色がわずかに残っており、当初は全体に彩色が施されていたと推測される。また、裳(も)の一部には金彩文様が施されているが、これは後補(江戸時代頃)とみられる。


なお、左腕の肘から先、裳の先端部、および持物類はいずれも後補であり、これらも江戸時代の修復に伴う補作と考えられる。背面には「牛頭天王」と墨書されているが、これも同時期の補記とみられる。


以上のことから、本像は後世の修補を受けながらも、主要部には平安後期から鎌倉期にかけての古様をよく留めており、中世の牛頭天王信仰を伝える作例として注目される。

 
 
 

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