牛頭天王座像

本像は、像高約20cmの寄木造による小像である。

小像ながらも玉眼を嵌入するなど精緻な表現が施されている。

体部には、牛頭天王に典型的な赤色ではなく、緑青による緑色の彩色が施されている。

面部の造形には、江戸時代に多く見られる別材の矧ぎ付けではなく、古式の「割り矧ぎ」による技法が用いられている。玉眼の内部構造も、通常の抑え木に加え、炒り竹を用いて締め打ち固定する方法が採られている。

本像は明王形の憤怒相を呈し、斧および羂索を持つ姿から、中世以降に確立された牛頭天王像の典型的な像容を有している。これらの様式的特徴や構造から、本像は室町時代から江戸時代にかけての作と推定される。